払下げってなに?

土地の「払下げ」とはなにか?

不動産売買や境界確定測量の現場で、「払下げ」という単語がでてきたことはあるでしょうか?

大体の場合それは、農道・水路といった公共用財産を個人や法人がお金を払って自分のものにするという意味です。

では、どんな時に「払下げ」ができるのか、誰ができるのか。解説します。

立派な水路。多分、払下げはできない・・

どんな土地で払下げができるか

払下げとは、個人や法人がお金を払って農道や水路を自分のものにすることです。

払下げの対象となる土地は、農道や水路。赤道・青道と呼ばれることもあります。

農業と切っても切れない大切な公共の財産なわけですから、ほとんどの農道・水路は個人が買うことはできません。

買うことができるのは、「機能していない農道・水路」に限られます。

例えば、「水が全く流れていない水路」「水路の跡形もない」「どこにも通じなくなった、誰も通らない農道」等です。

公図上は、確かに農道・水路が存在している。しかし現にその形はない。つまり昔はあったんだけど、周りの誰もが使わなくなった結果、いつの間にか形がなくなってしまった。というパターンがほとんどです。

そんな「農道・水路」は払下げの対象となり得ます。

誰が申請できるか

払下げ対象の地面に接している土地の所有者が申請できます。

払下げ可能な地面というのは、元々の「農道・水路」ですから細長い、狭い土地が多いです。それ単体で価値のでるような状態になりにくいでしょう。

そんな土地を誰もが買える事にすると、面倒な事が起きそうと予想されます。そこで、「農道・水路」に接している人に限定しています。

色々な書類が必要

市町村によって異なりますが、例えば以下のような書類が必要になります。

  • 生産組合長の同意書
  • 隣接土地所有者の同意書
  • 用途廃止申請書
  • 売払い申請書  etc

同意書関係は、自分の意志だけで何とかなる部分ではありませんから、そこで払下げが成就するかどうか決まります。

ちなみに「生産組合」とは町や地域ごとの農業生産者の集まりです。農道・水路は現在は市町村が所有者となっていますが、管理はそれぞれ地元の「生産組合」に任せている、という市町村がほとんどです。よって、機能が失われた「農道・水路」であっても、払下げに関して生産組合の同意書が必要になってきます。

パッと見た限りでは使用していなくても、将来的に整備して活用する予定がある、かもしれませんし、そのようなことは地元の農業関係者にしか分かりません。

「隣接土地所有者の同意書」はなぜ必要なのでしょうか。

払下げを申請する権利があるのは、「農道・水路」と隣接している人でしたよね。なので、自分(申請人)以外にもその「農道・水路」に隣接する人がいる場合はその人にも同じように「買う」権利があります。

「私が買おうと思ってなのに!」後日そんなトラブルを避けるためにも、「隣接土地所有者の同意書」が必要になってきます。

測量が必要

「農道・水路」には地番がついていない事がほとんどです。通常、宅地や田んぼには「5番」とか「15番1」とか地番がついていますよね。

地番がないという事は、登記簿がないという事、つまり面積の記載もないという事です。

面積を確定させなければ、売買金額が決まりません。1㎡あたり○○円で□□㎡だから△△円、という計算が出来ませんからね。

また、跡形もなくなった「農道・水路」や機能がなくなった「農道・水路」を買うわけですから、その範囲が明確じゃない事も多々あります。

なので、買う範囲を確定させなければいけませんし、場合によっては周りとの境界立会が必要になってきます。

時間がかかる

測量が必要で境界立会が必要という事は、境界を調査する期間が必要ですし、市役所の担当課や周囲の所有者との日程調整が必要になります。個人であれば、まず協力してもらう必要がありますし、忙しい方であれば即日という事は難しいでしょう。生産組合長も同意書に捺印するまでに稟議にかけたりと、時間がかかる事があります。

また、必要書類がすべて揃ってからも、用途廃止申請、売り払い申請、と段階的な申請が必要な市町村もあり、さらにその後、売買契約書の作成(市役所にて)、地番がない土地に地番をつける登記(土地表題登記)、それぞれに数週間かかり、あわせて最低3か月以上はかかる事が多いでしょう。

お金が必要

土地を「買う」わけですから、タダではありません。

売買の金額は、最終的に市町村が決めますが、条件により異なるため一概に説明はできません。

周辺の土地の市場流通価格の半値くらい、というパターンもあり、一般的な売買より安くなることが多いと言えます。

また、払下げの手続きは測量作業や境界調査が必要な事が多く、土地家屋調査士等の専門家に依頼することが多いでしょう。その分の報酬がかかります。

まとめ

すでに機能していない「農道・水路」に接する土地の所有者は、その「農道・水路」を買えるかもしれない

地元生産組合の同意書や隣接土地の所有者の同意書などが必要

基本的に測量が必要

売買金額は市町村が決める

時間がかかる。3か月はかかる事が多い

お金がかかる。土地代金、測量・手続き費用など

この記事が少しでもみなさんのお悩みの解決、財産を守る事にお役に立てればと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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