現況測量と確定測量の違いを説明します
現況測量ってなに?確定測量ってなに?どっちを頼めばいいの?費用は違うの?
パッと聞いただけでは分かりませんよね。決定的に何が違うのか?ふたつの測量の違い・活用方法をお伝えしていきますね。
現況測量と確定測量の違い
現況測量では隣接地所有者と立会・確認を行いません。
よって、境界調査も行われません。
現状のブロック塀、擁壁、道路側溝など、見たままの現況を測ります。
なので、おおよその面積、形状、間口等を知る事が出来ます。
また、測量するポイントを指示して頂ければ、そのポイントで測った場合の面積を知る事ができます。
その場合も隣接地との境界立会は行いませんので、あくまで「確定」はされません。
確定測量では隣接地所有者と立会・確認を行います。
それにより境界標を設置することができ、境界確認書を作成し隣接地所有者から捺印を頂きます。
道路や水路などの公共用地に接する部分も担当者と立会・確認を行い境界確認書を交わします。
現況測量の活用方法
例えば、あなたが今からこの土地を購入しようとする場合、不動産業者が土地を仕入れようとする場合、
その前に、現状では何㎡あり、登記記録より広そうか、狭そうか。これを知る事ができます。
もちろん、土地の所有者の了解があって測量に入れる訳ですが。
地区によっては、登記記録と実際の面積が異なる事はよくあります。事前に、分かっていて購入する事でリスクを減らすことができます。
また、建築をする際に建築確認申請に使用する配置図に使用できます。
建築確認申請に添付する配置図も、境界が確定されている事までは求められないため、現況測量で事足りるのです。
そして、隣接地の家の配置や窓の位置を図面上に落とし込めるので、日当たりや窓の位置など、良質な設計の役に立ちます。(隣接地に立ち入らず、家屋に触れずに測量する事ができます。)
でも、同じ測量するのなら境界が確定されるに越したことはないのでは?そんな声も出そうですが、
現況測量と確定測量ではかかる費用が全然違います。
例えば、同じ50坪くらいの土地で、隣接地の数も同じ、全く同じような状況の、土地だったとしても、
現況測量なら5万円
境界確定測量なら40万円
という事もあり得ます。
目的に応じて、選びお金をかける必要のないところはかけないのが良いかと思います。
納品時間も短く、費用も安い現況測量をぜひご活用ください。
確定測量の活用方法
現況測量の方が時間的にも費用的にも抑えられるのですが、ではどんな時に確定測量が必要になるのでしょうか。
「土地を売買するとき」
「土地を分ける(分筆する)ことが決まっているとき」
この場合は、確定測量が有効となります。
近年は、不動産売買において境界が明示された状態で販売もしくは仲介する業者が増えています。この最大のメリットは、
土地の新たな購入者が隣人との境界トラブル未然に防げることです。
そこに住む人にとって隣人との間に問題があるというのは、大変な心労になりますから、その価値は大きいのです。
また境界トラブルは発生してからでは、関係の修復が困難な事も珍しい事ではありません。
不動産業者の立場としては、境界が明示された土地を販売してくれる信頼できる業者という事にもつながります。
確定測量では、境界標の設置を行います。
現況測量をした上で、法務局の資料や区画整理の資料、地籍調査の資料などあらゆる境界調査をし、境界を導きだし、あるいは土地所有者、隣接地所有者と相談し確認をとった上でやっと境界標の設置ができます。
もともと、境界標があり、それがしっかりしている場合はそのまま残す事もあります。その場合も、全体の測量結果から、それが本当に正しい境界標なのかの確認を行います。そこにある境界標が、土地の元来の境界標かある人物が勝手に設置したものかは調査しないと分からないことがあるからです。実際にそんな例は存在します。
境界標は設置場所により、金属鋲であったり合成樹脂杭であったり様々です。
また、当事務所では、確定測量の場合世界測地系での測量を実施します。
これは簡単に言うと、測量した点が地球上のどこなのかが公共的な座標によって表されるので、
境界標が将来的に亡失しても、復元可能ということなんです。
また、「土地を分ける(分筆する)」場合も確定測量が必須になります。
土地を分ける場合、分筆登記を申請するのですが、その場合も法務局に「地積測量図」という公の図面が備わります。
土地を分ける線だけでなく、周囲の点も確定的な図面となるので、隣接地との立会・確認を行う必要があるのです。
まとめ
現況測量は境界調査。境界立会は行いません。
ただし、期間も費用も抑えられます。建築の際やおおよその面積を知りたいときにおすすめです。
確定測量は境界調査を行い、周囲の所有者と境界確認を行い境界標を設置します。
周囲の所有者から捺印(境界確認書)を頂きます。
期間も費用もかかりますが、財産の保全ができる、境界トラブルを未然に防げるというメリットがあります。
用途に応じて、使い分けるのが良いでしょう。
この記事が少しでもみなさんのお悩みの解決、財産を守る事にお役に立てればと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございます。