建物表題登記?しないといけないの?
家を買う。注文住宅で家を建てる。
すると、営業の方から見積もりを渡され、諸経費の中に「登記費用○○万円」と書かれている・・!
このタイミングで初めて「登記」に直面する、という方が多いのではないでしょうか。
注文住宅であれば、先に土地を準備することもあるので、既に「所有権移転登記」などを経験しているかもしれませんね。
では、諸経費の見積もりに出てきた「登記費用○○万円」、削れるものなら削りたい!しなくてはいけないのでしょうか?解説していきます。
表題登記はしないといけない
結論・・建物表題登記はしないといけない
建物表題登記は、新築から1月以内に登記する事が法律で義務付けられており、罰則規定も存在します。(過料10万円)
新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。
不動産登記法第47条1項
ちなみに、お金を借り入れて家を買う人が多いと思います。
【お金を借りた場合】
銀行から借りた場合、建物に「抵当権」を設定する事になりますので、
建物表題登記→所有権保存登記→抵当権設定登記
という風に順番に全て行う事になります。どれかを省く事はできません。
【お金を借りてない場合】
建物表題登記 は法的義務があります。所有権保存登記は法的義務がありませんので、新築と同時に行うかは自由です。
建物を担保にお金を借りる、売却する、相続する、このような時は所有権保存登記も必要になります。
表題登記とはなにか
家が建った時に、一番最初に行う登記が「建物表題登記」です。
どんな登記かと言いますと、建物の物理的現況を正しく表す登記になります。つまり、
どこに(所在地・家屋番号)
どんな種類の(居宅・店舗・工場・倉庫など・・)
構造は何で(木造・鉄骨造・瓦屋根・ガルバリウム屋根など・・)
床面積(○○㎡)
所有者は誰か
これらを登記します。
この「建物表題登記」を行う事で、建物の登記記録が公の登記記録として法務局に備え付けられます。
これを土台として、その上に「所有権保存登記」「抵当権設定登記」「相続登記」などの登記が追加されていく仕組みになっています。
つまり建物表題登記は全ての登記の土台となっているのです。
義務のない登記もある
建物表題登記は、不動産登記法という法律で義務付けられています。
しかし、所有権保存登記をはじめとして、義務のない登記もあります。意外でしょうか?
建物表題登記は建物の物理的現況を正確に表すことは、建物の所有者が今後変わるとしても、全ての登記のベースとなります。安全な取引のためにずっと必要になる事なのです。
対して、「所有権保存登記」は自分の不動産を守るために行う登記なので義務ではない、といった所でしょうか。
不動産を買ったあなたは、あなたにあなたに不動産を売った人(つまり契約の当事者)には自分のものだと主張できるのですが、所有権を登記する事で、それ以外の人にも自分のものだと主張できるようになるのです。
これは法律用語では「対抗要件を備える」と言います。
義務がないので、人それぞれメリット・デメリット(取引の安全・確実性・登記費用など)を天秤にかけて判断して良い、という事になります。
まとめ
建物表題登記は、新築から1月以内に登記する事が法律で義務付けられています。
建物表題登記は、建物の物理的現況を正確に表し、登記の土台となり続けるものです。
ちなみに、行わない場合は「過料」10万円という規定があるのですが、これが実際に科された例は聞いたことはありません。
古い未登記の建物は多いですし、それを改めて登記する事はあります。その場合も、「1月以内にしていませんね。では過料10万円です」とはなっていないのが現状です。
過料の件があるにしてもないにしても、表題登記は建物の登記の土台となるもので重要なものなので義務がある、という事でした。
この記事が、皆様の疑問の解決に少しでも役に立てればと思います。